親の手仕事〜梅干し作り〜

ある日の親の集まり。先生も含め、集まったお母さんたちと、たくさんの話が繰り広げられていました。
親の集まりでは、園の仕事の話し合いや、その時々の子どもたちの様子の報告、今年度何をしようか、などなど様々なことが話し合われています。
そんな中、先生から「みなさんは、ここで何をしたい?」と問われました。

たんぽぽ幼稚園では、何をするにもマナーはあれど決まりはなく、その年度の親同士でたくさんのアイデアを出し、催しものが決まります。

「たんぽぽで親が何をしたいか」

その時、私は自分が幼い時のことを思い出しました。
祖父母や両親や親戚が集まり、春にはヨモギを積んで草餅をついたり、初夏には梅干し作り、冬には大根で沢庵作り。

梅干しは梅をもぐところから。樽いっぱいの梅の香りを体全身で匂って、太陽の下で干された生温〜い梅干しを食べては「太陽の味がするー!」と言っていました。冬のたくあん作りは、畑で大根を収穫し、冷たい井戸水で大根を洗って、庭一面に大根を干した光景。

それは目にしたことだけではなく、匂いや味や、その季節を感じる、なんて素晴らしい体験だったのだろうと、今になって思うのです。

そんな体験をぜひ子どもたちにしてほしい!!
子どもたちにはできることだけでもいいから、季節の仕事を一緒に手伝ってもらって、五感に刻まれるような体験をしてほしいと思ったのでした。

そして「梅干し作りをしたい!」
という提案があがりました。
そう思ったら、翌日に「お隣さんから梅をもらったよ!梅干し作りするなら寄付します」という方がいらっしゃって、なんてタイミング!これはもう作らなくてはいけなくなりました!
そうして、その日から集まれる親で集まり、梅干し作りが始まりました。

みんなのそれぞれの経験と、本も見ながら、わくわくと上手くいくかの不安を抱きながら仕込みました。

塩漬けした梅に、翌日からじわじわと水が上がってきて、なんとも嬉しかったことを覚えています。樽に入っている梅たちが、とても愛おしく感じました。

赤紫蘇も漬けました。赤紫蘇の仕込みもそれはそれは素敵な体験でした。
洗っては何度も塩で揉んで、梅酢に入れた瞬間、鮮やかな赤色へと発色し、樽の中が梅干し色になるのです。感動しました。
とっても綺麗でした。
その場にいるみんなの歓声が上がりました。

梅雨が明けた頃、子どもたちにも梅を干す仕事を手伝ってもらいました。
みんな嬉しそうにお手伝いをしてくれました。
裏の畑の通路に梅を干し、3日目にとり込むのも子どもたちに手伝ってもらいました。

出来上がった梅干しは、暑い夏を乗り切る子どもたちへの贈り物になりました。
帰宅する子どもから「今日お散歩の時に梅食べたよ」と報告されるのも嬉しいものでした。

今回、園では初めての梅干し作りだったそうです。
そして親の仕事を子どもたちに手伝ってもらうのも、初めてでした。
初めてをやり遂げられたこと、嬉しいですね。

私は梅を干すときも、とり込むときも、生唾が出てしまう壺から香る梅干しの匂いを、子どもたちと体験できて幸せでした。

季節のお仕事を一緒に経験することが、親の私たちと子どもたちどちらの心の片隅にも、たんぽぽの思い出として刻まれると嬉しいです。

この度は、本当に素晴らしい体験をさせて頂き、ありがとうございました。
来年もまた作りたいです。

年長・年少親I