暮らしとつながる夏まつり

 

長い梅雨空が続いた1学期の最後は、夏まつりでした。

お夕飯の時間に集まってみたら、
みんなの服は花火やとんぼ、
朝顔に麻の葉…髪飾りもきれいです。

卒園したお兄さんお姉さんもいますよ。
なんだかうれしい、ちょっぴり照れくさい。

お父さんたちのテントからは、
お醤油の焦げた匂いがただよってきます。

「いつもとちがう」がいっぱいの、
はなやかな園庭です。

お部屋の中に集まって聞いたのは、
この季節にぴったりの河童のお話。
先生のやさしい声と仕草で、
ゆっくりと語られます。

膨らむファンタジー、
卒園生たちが奏でる笛の音。

さあ、外に出てお店やさんめぐりです。

野菜すくいに、宝石さがし。
香ばしい焼きとうもろこしに、
大きな串団子、みずみずしいスイカ!

満面の笑みでかぶりつく子、黙々とほおばる子。

お団子には子どもたちが挽いた米粉が入っているんだって。
美味しいねえ、よかったねえ、なんて言葉を交わしながら、
1学期をねぎらい合う親たち。

清々しい空気が流れて、
たれこめた雨雲もふわりと軽くなるようでした。

おなかが満たされたあとは、母たちの作った風車を持って、
子どもたちが走る!走る!風車がまわる!
でも、まわらなくても気にしない!
そして父母の胸にとびこんでいきます。

ただ走る、それだけで、どうしてこんなに楽しいのでしょうね。

最後に卒園生たちの笛に合わせ、みんなで輪踊りです。

薄暗くなってきた頃には、色とりどりの提灯がお目見え。
中の蜜蝋ろうそくも、子どもたちがつくったものでした。

どこまでも「子どものための」おまつり。

これで地水火風の小人さんたちと仲良くなれたので、
この夏も、元気に過ごせそうです。

…ところで。

子どもたちが砂山で見つけた宝石は、
美しいにじみ絵の紙で包み、
紐でキュッと結んでもらっておみやげになりましたが、
この紐はなんと、とうもろこしの皮を乾かしたもので、
驚くほど丈夫でした。

風車は、竹と紙と数珠玉の実でできています。

提灯も、竹と紙と蜜蝋粘土。

竹の持ち手はこの園、学校を支えてくださっている、
地元の89歳のおじいちゃんの手作りです。

たんぽぽでは子どもも大人も、
さまざまなものを手作りします。

出来るかぎり自然の恵みをいただくので、
いずれ還すことができるものばかり。

環境への負荷が少ないという点は、
保護者としてとても気持ちのよいことのひとつです。

子育ては、自然とつながる暮らしそのもの。

今の幸せをぎゅっと抱きしめていたくなった、
心あたたまる夏まつりでした。

(年少々、年中保護者)