レオニーとユウタの交換留学(高等部)
父ひとり母ひとり息子ひとりのわが家に、はるばるドイツから娘がやってきたのは2017年の夏の終わりのことでした。居間からひと続きの和室を個室にしつらえ、一家で大騒ぎをして迎えた「うちの娘」は、日本のホラー漫画とアニメとコスプレをこよなく愛する16歳でした。
世界各国に存在するシュタイナー学校。留学したいと願う高等部の生徒には、三か月ずつ※互いの家と学校に受け入れられて学校に通う「交換留学」という選択肢があります。9年生になって留学希望を出した息子、ユウタに、先生が日本留学を希望していたレオニーを紹介してくれたのは2016年秋のことでした。
それから互いにメールや写真をやり取りの末、翌年8月末、まずレオニーが来日。日本語はほぼゼロでしたが、毎日ユウタと一緒に自転車通学して友だちをたくさん作り、ホストマザー(わたし)に着物を着せてもらって写真を撮り、クラスの測量実習に参加して三週間八ヶ岳のふもとで自炊生活をおくり、日本の温泉を体験し、英語字幕付きの能・狂言公演に連れていかれて居眠りをし、スーパー歌舞伎「ワンピース」観劇に大喜びし、表参道・原宿は何度も訪れて大いに楽しみ、クラスメートとディズニーランドへ行き、私たちホストファミリーに連れられて京都・奈良の観光地をめぐりました。日本で気に入った食べ物は「うどん」と「おでん」。「おみそしる」も好き。
そして11月。「また絶対日本に来る!」と宣言しつつ帰国したレオニーと一緒に、今度はドイツ語も英語もおぼつかないユウタが渡独しました。お父さんお母さんとレオニーとその妹と馬3頭(!)と猫2匹に暖かく迎えられ、授業はさっぱりわからない(本人談)ながら学校に通い、ドイツのクリスマスと新年を体験させてもらい、ドイツのスーパーマーケットで売っているチョコレートが気に入り、乗馬の教師をしているお父さんの助けで乗馬を体験し、テーブルゲームが好きなお母さんと気が合って夕食後にはカードを(駒を)戦わせ、近隣の観光にコンサートにと連れ出してもらい、親の心配をよそにめったに連絡もよこさない三か月。
(そのあいだ、わが家はたがいに「老夫婦の予行練習」と言い合う静かな日々)
そして帰国から10か月、ユウタは「またドイツ行きたいなあ…(パンは日本の白いふわふわのパンがおいしいけど)」と言います。一方でレオニーはひと足早く、お母さんの話では「ウエイトレスのアルバイトをしてお金を貯めて」、この冬休みに二週間の予定で日本に戻ってきます。友だちの家にも泊まり、わが家では年末年始を体験し、たぶんまた原宿にも行くんだろうね、きっと。
レオニーとご家族、あちらの学校、そしてもちろん東京賢治シュタイナー学校と先生方、ユウタとレオニーが16歳という時期に得られた貴重な体験については感謝の念しかありません。そしてレオニー、楽しみに待ってるよ!
(11年生保護者)
※交換留学の期間は、本人の希望や状況によって異なります。
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