学習発表・プロジェクト発表
自己表現する環境
本校では、生徒たちが自己表現できる場をたくさん用意しています。
低学年のうちから、人前で発表することを通して、自分自身を素直に表現できる子どもに成長していくのです。そして学年が上がれば上がるほど、表現する力は豊かになっていきます。
とはいえ思春期には、自分を表現することが急に恥ずかしくなったりすることもあります。ただし、だからといって何も表現しなくていいわけではなく、恥ずかしながらでもその子が今できるものを要求します。たとえふてくされながらでも、とにかくやってみることで、その時期を通過した後に、本人が本当に変わります。
私たちは、きれいな部分だけを表現として見ているわけではありません。どんな自分も自分自身なんだと温かく見守る環境があり、親御さんにもそれを理解してもらっています。だからこそ、子どもたちは表現することに対しての自信がつき、しっかりした個が成長していくのです。子どもが着飾らずにありのままの自分を表現すること、それを私たちは何よりも大切にしています。
学習発表会は、1年生から高等部までの生徒が、自分たちが普段行っている授業の1コマを、1クラス各7~8分程の時間で発表していく場です。
子どもたちが普段、学んでいる授業の内容を集大成として発表します。ただし、何度も練習して仕上げたものを発表するのではなく、自分たちの学びをできるだけナチュラルなかたちで伝えることを意識しています。低学年の段階では、とにかく人前に出て話をすることが大切です。同時にそれを喜ぶ大人がいると知ることで、人前に出て自分を表現することが自然になっていきます。
8年生は小中学部の卒業という、節目の年にあたります。高等部に入って現実的な学びに入っていく前の1年間に、先生に見守られながら、手足をつかってひとつの作品づくりにとりくみます。
このプロジェクトは椅子をつくったり、ドレスをつくったりと、生徒自身が興味のあるものを1年かけて計画し、追求してつくるというものです。そして最後に出来上がったものをたくさんの人の前で発表します。
演劇に取り組み、積み重ねてきた練習の集大成を見せる機会が卒業演劇です。
8年生にとっては大きな舞台は初めての取り組みになりますが、それでも低学年の頃から人前に立つことに慣れているので、自然に役柄に入っていくことができます。とはいえ、8年生の子どもたちは14歳で思春期まっただ中。そのため、ここではなるべく自分自身と近い役柄を演じます。
12年生になると、今度は自分とはまったく違う役に挑戦します。自分と違う役を通して、それでも自分の中にその要素があることを再発見したり、表現することで新たに出てきた“自分”を冷静に見る能力が養われます。自己認識のひとつとしても自己表現は欠かせないものなのです。
自分の言葉で自由に話す力をつけることは、本校が大切にしていることのひとつです。
高等部では、学習発表会でも自由に自分の言葉で話すことに重点を置いていますが、その最終的なゴールとも言えるのが12年生の論文発表です。ここでは、生徒が一年間自分で研究してきた内容を人前で45分間発表します。質疑応答も入れて1時間の発表になりますが、それを通して、はっきりと自分を表現していく力が養われていきます。
オイリュトミーは曲や音、言語に合わせて動く、身体全体を使ったシュタイナー教育独自の総合芸術です。
みんなで一緒に動くチームワークが求められることや、同時に一人ひとりがしっかり動かなければ表現できないことなど、芸術性と社会性がとても高く要求される表現です。その集大成とも言える大きな作品に挑み、大勢の観客の前で発表します。
11年生が行う1時間ほどの英語劇は、他の国の人を演じることで、その国の人々のメンタリティを深く理解するというものです。
高等部になると国際人として、国ごとの考え方や、エスプリを理解することが求められます。発音や振る舞いを意識してその国の人になりきると、メンタリティが身を持ってわかるようになります。すると、その背景にある思考もわかってきます。英語の授業は低学年から行っていきますが、演劇というかたちで自身の身体を通し、表現することで、より深い理解が可能になります。