オープンスクール案内②「高等部の七頭舞」
このコラムでは、6/1のオープンスクールご来場予定の皆さまに向けて、当日の見どころをガイドします。
(※来場申込は締め切りました)
今回ご案内するのは、「高等部の七頭舞」です。
本校に代々伝わる「七頭舞(ななづまい)」。宮沢賢治の故郷岩手県の伝統芸能で、荒れた土地を開墾する人々を表現したダイナミックな舞です。
昨年、当時の12年生(現卒業生)に七頭舞について聞いたインタビューを紹介します。
小さい頃から憧れていた七頭舞
校庭から小気味よい太鼓の音が聴こえてくる、ある日の放課後。12年生(当時)の松浦くんは少し恥ずかしそうに、七頭舞への思いを語ってくれました。
僕はもともとお祭りのお囃子が大好きなんです。兄たちも踊っていたのもあり、七頭舞は小さい頃から憧れがありました。教室の掃除をしながら、はたきを道具に見立てて踊っていたこともあります。
小さい頃から先頭の「先打ち」という道具に憧れていて、絶対あれをやろうと思っていました。
松浦くんは今度は「先打ち」を踊るのですか?
練習はしてきていますが、まだわかりません。本番数日前に編成が決まるので……。
そうなんですね。色々なパートが踊れないと、対応できませんね。
みんな小中学部の体育の授業で「刀」のパートから練習します。12年生までその道具を極める人もいれば、楽器や他の道具を選ぶ人もいますが、大体の人が希望通りの道具を踊れていると思います。
本番1、2日前に場所を確認しながら全体で練習すれば、合わせられます。
そんな短期間で合わせられるのですね。日頃の練習の成果ですね。
そうですね。
踊りに注目が集まりがちですが、お囃子もとても重要です。
重い太鼓を肩にかけて叩く人、暑い中着物を着て30分間笛を吹く人、本当に大仕事です。
チャッパ(シンバルのような和楽器)も簡単そうですが、手に豆ができて血が滲むこともあります。
ぜひお囃子にも注目して欲しいですね。
七頭舞は「個人」ではなく「全体」の踊り
松浦くんにとって七頭舞とはどんなものですか?
違う学年との交流の場です。下の学年の子たちが練習しているところに行けば、わからないことを聞いてきたりする。僕もそうやって先輩たちに教えてもらってきました。
七頭舞週間には卒業生の方も来て教えてくださるので、卒業生にも会えます。道具や烏帽子は、何年も前に卒業生の方が作ったものを手直ししながら大切に使っています。
覚えるのも大変だし、練習も大変だし、本番も特に後半は体力も削られて大変です(笑)。でも、やっぱりみんなで一緒にやっているというのが醍醐味だと思います。
学年を超えてみんなで踊ることに魅力を感じているのですね。今年は松浦くんたち12年生が引っ張っていく番ですね。今の心境は?
自分が憧れていたような、憧れられる先輩になりたいという思いがずっとあります。
これまでは何もプレッシャーを感じずに踊れていましたが、12年生になると意識が変わりました。
全体をひっぱっていかないとならないですし、「先打ち」の場合は踊りの先頭に立つだけでなく、練習でも全体をまとめないといけません。
4学年をまとめるのは責任重大ですね。
七頭舞は一人ひとりが踊れても、全体で合わないとごちゃごちゃに見える踊りなんですね。
本番ではさらっとやっているように見えるポジションの移動も、みんながちゃんと把握してないとできない。全体を見ながら、全体で協力しないとできないんです。
「個人」ではなく「全体」の踊りだと思っています。
オイリュトミーの舞台でも、全体を見ながら動いている印象です。大人がやるとぶつかったりするので、いつも感心しています。
七頭舞もかなり高度な動きがありますよね。全員が踊れるということにかなり驚きました。
低学年からオイリュトミーをやってきていることで、軸がぶれない体ができているはずなので、何かしら関係があるのかもしれません。
七頭舞にこれまでの学びの成果があらわれているのですね。
最後に、オープンスクールにいらっしゃる方に、伝えたいことはありますか?
オープンスクールの七頭舞は、小中学部から新しく入った9年生にとっては初舞台です。
みんな練習をがんばっていますが、仕上がりという面では、まだまだな部分もあるかもしれません。
学校祭の頃には回も重ねているはずなので、同じ踊りでもどこかしら成長していると思います。ぜひ温かく見守ってください。
秋の学校祭ではさらに進化した踊りが見られそうですね。
今回は12年生の皆さんの成熟した踊りと、9年生の皆さんのフレッシュな踊りを楽しみにしています。
お話ありがとうございました。
高等部の9年生(中学3年生)から12年生(高校3年生)が一丸になって踊る姿は迫力満点。
本校の生徒や保護者もいつも楽しみにしています。
新しい世界を切り開く「開墾」を全身で表現する、生徒たちのエネルギーを感じてみてください。