4年の学び

目次

テーマ

内なる目覚めと新たな世界とのつながり

学年の特徴

4年生は3年生で始まった内面の目覚めが、よりはっきりとしていく時期です。子どもたちは新しい意識を持って、新しい世界に入っていくのです。

1、2年生とは遊ぶ友だちが変わる可能性もあります。一般的にも、けんかやいじめが起こりやすい時期でもありますが、それは自意識がはっきりしてくる中で好き嫌いが出てきたり、誰かを排除したりしたくなるからです。そのため4年生は内面の変化を抱えつつも、周囲との関係の中で自分を鍛えていく時期、あるいはきちんと地上に根を下ろすまでの戦いの時期でもあります。

学ぶ教科も、現実世界に向かっていくことを練習するような内容に移行します。そこでメインになるのが郷土学という社会科の授業です。子どもの目覚めが大地とつながり、同時に空間だけでなく時間に対しても広がっていく時期なので、それを助けるように、学ぶ内容も実際の世界と同じように多岐にわたる内容になります。

学年ごとの教科

国語

世界の各地域に伝わる神話(巨人たちが大げんかをするゲルマン神話など)を子どもたちに聞かせます。そこで強い自己を持った存在が他の存在と戦いながら、折り合いをつけていくことを追体験させます。神話の中の言葉を唱え、母国語の中で母音や子音をしっかりと発音する練習をすることで、この年齢の成長にあった秩序ある安定感が子どもにもたらされます。さらに空間や時間に対する意識が生まれる中で、「現在」「過去」「未来」という時間を意識した文章の学びが始まります。時間におけるいろいろな体験の領域を取り上げ、子どもと話をしながら、今起こったばかりの体験から、過ぎ去ったことの内容までを子どもに注目させます。「未来や現在を意識し比較するには、言葉の表現はどのようになるのだろうか?」という問いも投げかけていきます。

算数

自分と世界がしっかり別れた4年生になると、複雑な世界を分析する力が現れてきます。ですからこの分析的能力の取り組みにふさわしい分数が導入されます。最初は円(またはケーキ、時計)がありますが、そこから目に見えるように解かりやすく、半分、三分の一、四分の一、八分の一、に分けていきます。そこででてきた部分同士の互いの大きさの関係を比べながら考察していきます。その他には、四則演算の発展と、100万の単位までの数を学んでいきます。さらにさまざまな練習を続けながら、計算においての柔軟さを育んでいくことができます。

フォルメン線描

結び目模様を描くという複雑なフォルムになっていきます。刺繍のクロスステッチと同様に、交差は目覚めや覚醒を表します。これは、4年生の心の中で起こっていることを、フォルムで表しているとも言えます。この練習をすることで、さらに子どもたちの感情が覚醒し、心が目覚めることをねらっています。

水彩

低学年での純粋な色の体験から、色彩からフォルムを生み出す取り組みへと移行していきます。理科の教科である動物を描いていくことが新しいテーマになります。または北欧神話や日本神話などのお話から、テーマを取り上げて色彩豊かに描いていきます。

動物学(理科)

動物学は4年生から初めて学ぶ教科です。2年生のメルヘンに出てくるずるがしこい狐ではなく、今度は現実世界の種として、狐そのものを知っていくのです。動物学は、一般の学校での理科にあたりますが、シュタイナー学校ではまずは人間の身体のそれぞれのはたらきを学びます。「頭は何ができるかな?」「見ることができる」「聴くことができる」「考えることができる」。このような形で、胴体や手足も見ていきます。人間の身体の考察に取り組むことが人間、動物、植物への真の理解への扉になっていきます。その後、動物たちを分かりやすく取り上げています。私たちの身近にいる動物を学び、人間の身体と比較しながら理解を深めていきます。動物がより身近になり、自然界を洞察する確かな基礎がつくられていきます。

郷土学(社会)

4年生から始まる新しい教科が郷土学です。自分が住んでいる場所を学んでいく授業です。広い範囲で自分たちの住んでいる地域の地理を把握していきます。これは4年生が現実に根ざしていく段階にあることとつながっています。また、過去という時間の概念が出てきて、理解が生まれるのもこの時期です。昔はどうだったのか、まずは自分が住んでいる地域の歴史を調べたり、実際に絵地図を描いたりします。この過去という観点があるからこそ、4年生にとって郷土学が重要な教科と言えるのです。また、郷土学は地理だけでなく、歴史や国語など、さまざまな教科が入る総合授業と言えるでしょう。

英語(外国語)

4年生の外国語の中心は、書くこと、読むことです。1年生から3年生まで唱えてきた音がアルファベットという音と結びつきます。そこからアルファベットの習得に入り、アルファベットの文字と音を結びつけます。詩の最初の部分や練習した簡単な文章を書き、きちんと読んでいくこともします。これらを少しずつ、一歩一歩意識させ、練習していきます。

音楽

音楽の中心は分数との関係から音符、拍子、リズムを学びます。音階もダイアトニック(ドレミファソラシド)の音階で必ず主音に返ってきます。一般的な唱歌も導入され、カノン(輪唱)も練習されます。クラス全体での音楽的共同作業の誕生です。

オイリュトミー

新しいファンタジーの能力、表象活動の能力が呼び覚まされました。3年生までは円を描き、一体になって動いていましたが、4年生からは全員が正面を向き、客観的な空間の方向体験をします。全体の中の自分の位置や関係をさまざまな空間の動きの中で体験します。また、音階や音も学び、輪唱や二声の曲を動き、表します。言葉のオイリュトミーでは子音と母音、文法の表現を学び、短歌や短い詩を動き、表します。子どもはその中で再び自分を見つけ、世界の新しい見方や位置を体験することができます。そして みんなで動く練習は「周りと調和をとる」意識を育てていきます。

体育

3年生で練習したような障害物の練習をさらに続け、どんどんその内容を難しくしていきます。「自分が行うことはグループに影響する。」という体験はリズムやバランス感覚を養う運動や簡単な球技の中で育んでいくことが大切です。自分だけではなく常に全体を見る練習を通して、身体とともに社会性も築き上げていきます。

手仕事

「クロスステッチ」の刺繡が中心的に取り組まれ、そこでは美しさと機能がはっきりと現れる手提げをデザインします。常に繰り返される「交差」を作り上げていくことは、しっかり、正確に行う「意志の力」を要求し、練習を通して「集中力」が養われます。そして正確に、「ハサミ」「待ち針」「針」の使い方を覚え、「指貫」を使っての縫物の作業も始まります。

練習

エポック授業の内容を深め、定着させるためのもので、主に国語や算数の学習の中で漢字や計算の練習など、反復練習の必要なものを集中的に行います。徐々に自己学習の力をつけるために、下校後の子どもの時間の使い方もサポートしていきます。宿題の取り組みもさらに意識して行い、よい学びの習慣から課題をやり終えるという、意志の力を育みます。

学年ごとのイベント

引き続き、季節の行事に取り組みます。どの行事もお祝いの場を作り、歌を歌い、詩を唱え、音楽を奏で、行事に合った料理をクラス全員で作り、皆でテーブルを囲みます。その中で人と協力し合う社会性と食に対する感謝の気持ちも育んでいきます。さらに遠足では、郷土学で学んだ学校周辺地域を東西南北の位置を確かめながらめぐっていきます。「この町はどのように出来上がったのだろう?」。という問いを持ちながら、子どもたちは、周辺地域の昔から重要だった道や由緒ある場所をさがしていきます。そしてそれにまつわる言い伝えなども聞きながら、市内周辺を歩いて回ります。さらに自転車の導入を通して、サイクリングの学びも行われ、今までよりもより広い範囲を巡っていきます。

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