8年の学び

目次

テーマ

より開いた意識で外の世界に向かえるよう
一人一人の内面の形成を支えていく時期

学年の特徴

8年生は知的能力が自分の内面に向かい、感情世界ができあがる時期です。内側に籠り、誰も立ち入れない自分だけの世界を創りあげていきます。

ただし、まだ心が完全には自立していないため、楽しい日があればひどく落ち込む日があるように、感情の起伏が激しくなります。一番荒れる時期でもあり、好き嫌いも激しくなり、自分の価値観を周囲に押し付けるようにもなるでしょう。どうしても気持ちが内側を向くので、授業ではその意識をできるだけ外側に向かせるような内容になっていきます。自然科学のエポックなど実験や観察が要求される教科は、新しく目覚めた思考の力を一歩一歩修練し、自分の力で自立した判断能力をつけていける大きな力になります。目覚めた意識の中で、物具体的な事物を通して生き生きとした思考が活発に働きだします。この思考が生徒の内面の成長を支えるからこそ、ますます外の世界について学んでいけるのです。なぜなら、この時期は自分の内側で起きていることを、外の世界でも同じように体験するからです。

学年ごとの教科

国語

さまざまな文学作品を聞き、読んでいきます。叙事詩、戯曲も取り上げ、8年間の総まとめとして劇の上演を行います。内側に向かった感情の世界が生まれたことで、繊細な感情のニュアンスや人物の性格や特徴を文章の中で読み取る力が生まれます。ですから8年生での大きなテーマは気質です。胆汁質、多血質、憂鬱質と粘液質の気質を学び、選んだ文献を気質の観点から比較し区別する練習をしていきます。気質を通して文章に対するイメージが生き生きと生まれ、豊かな文章への感覚が養われていきます。文法では接続語や能動受動により文章が変化することも学びます。比喩や隠喩の取り組みも集中して行われます。

数学

百分率、平方根、負の数の関係づけ、カッコ( )と分数を使って代数に取り組んでいきます。そして、方程式の練習を通して、新しい問題を作り上げます。整数で答えが分数になる方程式から、分数で答えが整数となる方程式へ移り、最後には分数で答えが分数になる方程式へと到達します。
自分の内面のルーツを探していくために、平方根を学び、一次関数や立体の体積も学びます。

幾何学

幾何学の世界はより立体的になり、平面的な幾何学の授業から、プラトン立体についても学んでいきます。
ピタゴラスの定理の関係においては、平方根を求めることを練習します。直角三角形の観察をしていくことは、8年生の思考や観察行為に適しています。8年生においては、直角三角形の定理と、垂線の定理を話し、両方の定理をピタゴラスの定理につなげます。ピタゴラスの定理は10年生において余弦定理として終結し、辺の平方の大きさを比較することによって、三角形の鋭角と鈍角を調べることができます。調和がとれた比率を追及していく黄金分割も学んでいきます。

骨学(理科)

8年生は身体が成長すると同時にコンプレックスが生まれる時期です。8年生の人間学では、骨格のメカニズムについて取り組みます。ここで重要なのは人体学の最初の基本の骨学、観察し、スケッチし、比較したり考察したりすることです。骨格の観察については、鉱物学の石灰と関係させます。

生徒に丸い球的要素を持った頭蓋骨と、手足の中で真っ直ぐに伸びている、管状骨についてよく観察させ、頭蓋骨は脳を包み込み、脳を守る要素を持ち、管状骨は内部にあり、しっかりとした安定を人体にもたらすことに気づかせていきます。関節において球関節、鞍関節、蝶番関節を学びます。8年生は、物理で取り組んだ法則が人間の中にも作用していることをここで理解します。人間の運動の力学と動力学です。このエポックを通してコンプレックスを乗り越え、身体の叡知を知るために、人間学の授業が行われます。これによって自分の身体を受け入れていけるようになります。

化学(理科)

化学では人間の体を維持する栄養について取り組んでいきます。でんぷん、糖、たんぱく質、脂質です。でんぷんは植物の中にある糖分が固体に変容した要素です。穀物の粒を使って実験します。ここからつなげて、セルロースについて取り組んでいきます。砂糖については水の中での可溶性について取り組んでいきます。そして植物の中の糖形成について取り組んでいくことができます。光の作用を通して糖分が生まれ、それが変化してでんぷんになり、その過程の中で酸素が放出されるということを学びます。タンパク質では、卵白を使っていろいろな実験をしていきます。そしてさまざまな素材にどれだけのたんぱく質が含まれているか見ていくことができます。脂肪と油の特徴は、油と水を分離させるいくつかの実験を通してはっきりさせていくことができます。これを7年生で学んだ栄養学とつなげて学びます。

物理学(理科)

8年生の物理においては、一般生活に伴う内容につなげ、日常生活で使っているさまざまな器具や製品について学んでいきます。光学においてはレンズの法則を再び取り上げながら、虫眼鏡、めがね、望遠鏡、と顕微鏡などのレンズの実践的使用について進めていきます。力学においては水力学を全面的に学びます。さらに電流の磁力作用を学びます。コンピューター技術の前提である簡単な現象として、いくつかのリレー回路にも注目させていきます。最後に自分でモーターを製作していきます。

歴史(社会)

人間が使う道具から産業的生産方法の移り変わりを学んでいきます。蒸気機関の発明により、機械で動く機織り機、紡績機、蒸気機関車の発明など、一つの発明は次の発明を引き起こす原因になることを学びます。同時に当時の労働者の生活とそこで出てくる社会的問題についても取り上げます。お話の時間では、産業革命に関わった人の人物伝を聞きます。日本史では江戸幕府の成立、江戸時代の人々の暮らし、明治時代から世界大戦までを含んだ現代までをひと通り学びます。

地理(社会)

地理では世界がさらに広がり、南北アメリカ大陸やオーストラリア大陸、南極大陸など、全大陸を学びます。歴史の授業と一致させてそれぞれの民族のもたらした文化について取り組んでいくことができます。南北アメリカの民族も取り上げ、歴史の授業とつなげて人種問題について取り組み、更に現代の状況も把握していきます。それぞれの大陸がより生徒に身近になってくるでしょう。私たちが歴史、物理そして化学で取り組んだ内容を地理の授業につなげていくことができます。しかもこの地理の授業で取り組んだ内容は逆にそれぞれの教科をさらに深め、豊かにしていく手がかりを作っていきます。このように地理の授業はすべての教科をつなげていくとても大切な役割を持っているのです。

英語(外国語)

8年生になると自分の長所、弱点いわば自分の人生の歩みに対しての意識を持ち出します。ですから英語の授業では、自分の運命への問いや、理想、人間の尊厳にかかわるテーマが現れてきます。また、生徒が興味を持っているさまざまな出来事を、取り上げていきます。作文や文法、読解など、英語授業の包括的な内容を学びます。さらに、辞書を使用していくことも引き続き学びます。

音楽

8年生では合唱曲の練習を育み、バラードや独唱曲を通して人間の真実への探求や内面の孤独に生徒は出会います。自己と格闘をしていく音楽家の人生記を学びます。生徒にとってとても大切な話しになります。その中でその作曲家の曲を聴きながら曲の特徴をつかみ、さらに音楽理論、音楽史も学んでいきます。引き続きクラスのアンサンブルはさらに練習され、学習発表会では、弦楽や管楽器が合わさった大曲に取り組みます。

オイリュトミー

7年生に引き続き、内面と外の世界との間の表現や動きを体験します。「音楽のオイリュトミー」では名曲と言われる大作に取り組み、複雑なフォルムに音符の音を合わせて、より一層音楽的な芸術表現をしていきます。「言葉のオイリュトミー」では、喜怒哀楽などの人の魂の表現を学び、自然と人との照応を表す詩やドラマ性のある詩、物語を動き、表していきます。銅の棒練習はさらに続き、身体から空間へと意識を広げていきます。

体育

骨格を意識した全身運動や陸上競技を行います。腱は8年生において骨格と強く結束します。体操の取り組みにおいては以前よりもよりいっそう強く、てこの原理が作用する練習をしていきます。「リズムとジャンプ」のテーマは、さらに体操のなかで取り組んでいきます。競技練習はさらに強化され、ハンドボールやバスケットボール、ポートボール、バレーボールなど、本格的な球技をさらに練習していきます。

絵画

対象物をあるがままに具体的に描いていく写実線描を行います。物の外形、輪郭、遠近、影を使って描いていきます。8年の生徒には、丸いす、ペンチなど実質的対象物を選んでいくことができます。その中で、感情的にならず、「正確さと、事実に即した取り組み」をより強く体験することができます。また、芸術作品の中からも模写を通して練習します。

手仕事

ミシンを導入し、衣服をつくっていきます。歴史の授業で学ぶ産業革命でもミシンや紡績が出てくるので、それと連動して機械を扱えるようになることが目的です。生徒はミシンの取り扱い方を学び、足踏みミシンを使うことによってミシンのメカニズムとその機能についても見抜けるようになります。ミシンの歴史と、その社会的な意味をも生徒たちに話していきます。まずは、ミシンに慣れるために、布にミシンで模様をつくり、その布で入れ物を作ります。さらに慣れてきたら、エプロンや卒業劇の衣装なども作成していきます。さまざまな素材についての知識を知っていくのもこの製作に欠かせない取り組みです。ここでは生徒はさまざまな繊維、素材の種類の概観を学んでいきます。

園芸

8年生では畑の計画作業を生徒と共にしていきます。作業順序と過程、その実地を前もって考えます。課題はさらに多年生草木、簡単な繁殖へと広がっていきます。文章の取り組みにおいては、個人の感情をいれずにありのままを報告する実状的作業報告に取り組んでいきます。

園芸の授業ほど、それぞれのシュタイナー学校によって、取り組み方がまったく異なる教科はないでしょう。園芸の授業の中で感情を通して、土壌と植物のある決まった処置の仕方が正しいか間違っているか、について相応しい判断ができることを練習していきます。それがすべての環境的問題とつながっていきます。園芸の授業は、いのちを育てるというポジティブな行動を通して実践的環境学、生態学の学びになっていくのです。地球全体に広がる大きなエコロジーの作用を生徒にもたらします。「社会的な能力」がこの園芸で育まれていきます。

木工

木船のテーマで作品づくりをしていきます。かんなの作業をし始め、車大工の作業、彫刻的作成的作業を続けていきます。高等部に入る前の8年のこの時期に、さまざまな技術に親しみ、それを習得し、巧みな技術を身に付けていく。するとそれが高等部において、考え抜ける思考の認識能力に変化し、そこから工業的、産業的過程を理解できる力が持てるようになります。この過程をたどる生徒はまさに、自分の人生に自信が持てるようになるのです。最後の卒業式では、その制作した船が披露されます。

練習

エポック授業の内容を深め、定着させるためのもので、主に国語や算数の学習の中で漢字や計算の練習など、反復練習の必要なものを集中的に行います。徐々に自己学習ができる力をつけるために、下校後の子どもの時間の使い方もサポートしていきます。宿題の取り組みもさらに意識して行い、よい学びの習慣から課題をやり終えるという、意志の力を育みます。

学年ごとのイベント

卒業劇

8年生ではクラス担任との最後の取り組みの一つとして、劇の公演があります。普段の自分とは違う感情を表現することを通して、自分の感情に対して客観性が持てるようになることができ、また自分ではない誰かを演じることで、違う自分を発見することにもつながります。同時に共同作業で、みんなで助け合ってひとつのものをつくっていくことで社会性と行動力が身につきます。8年間のクラス担任がこの劇を指導し、それが卒業イベントにもなります。 担任の先生と共に台本を選び、キャスティングを行い、練習に入ります。照明から大道具、小道具、ポスター制作まで、演技だけでなくすべての作業に関わるため、総合的な作品作りへの意識が培われます。さらに思春期のこの時期に、演技を通して自らを表現することで、内的自信と積極性が養われていきます。

8年生プロジェクト

8年生の生徒が自分自身で選んだ実践的テーマを、一年間かけて取り組み、発表するプロジェクトです。建築、編み物、写真、家具製作、被服製作など、様々なジャンルの幅広いテーマが発表されます。この一年間で生徒の自主性、積極性、行動力と計画性、忍耐力、想像力、思考力が培われるだけでなく、人前で発表することで、プレゼンテーション能力も養われます。

自然の中の限界体験アウトドア

8年生では、自然界をより深く体験し、意志の力をつけるために、自然の中の限界体験として、アウトドアの学びがあります。川でのカヌー体験や海山での水泳や登山、雪野原でのクロスカントリーなど、様々な体験をすることで、どのような状況にでも対応できる生徒の行動力と判断力、過酷な状況でもすべてを乗り越える忍耐力、他の人との協調性が養われていきます。

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